<上演の場>を探るシリーズvol.1『棒になった男』上演決定!

creationそらあいだ、2回目の公演の開催が決定!

<上演の場>を探るシリーズvol.1と題し、安部公房『棒になった男』より、第一景『鞄』第二景『時の崖』第三景『棒になった男』を上演いたします。また、本編終了後に「dig会」も開催!公演詳細は上記画像またはページ下部をご確認ください。

ご来場、心よりお待ちしております。

戯曲について

今回取り扱う戯曲は、昭和中期から平成初期にかけて活躍し、「ノーベル文学賞に最も近い人物」とも評された、日本の小説家・劇作家 安部公房の戯曲『棒になった男』です。3つの作品からなるオムニバス形式を取っており、1969年に初演が上演されました。作中の時代背景も1969年当時を想定して描かれているものと思われますが、2024年現在にも通ずる部分が多くある作品です。今、上演するからこそ浮かび上がってくるものがあるのではないかと考え、稽古に臨んでいます。今回の上演では、第一景『鞄』と、第三景『棒になった男』を演劇作品として、第二景『時の崖』を戯曲を元にダンス的(身体表現的)作品としてアレンジを加えお届けいたします。

あらすじ

第一景『鞄』
新婚の女が、自宅に女友達を招いている。女は夫の所有する旅行鞄の中身がどうしても気になり、鞄の鍵を開けられないか友人に相談する。

第二景『時の崖』
昭和38年。落ち目のランキング・ボクサーが試合に臨む。彼が試合に挑む直前から試合中、そしてダウンまでの心境が実況中継のように独白される。

第三景『棒になった男』
ある六月の日曜日。ターミナルデパートの屋上から一本の棒が落ち、歩道の縁石に座っていたフーテンのカップルのそばに転がった。フーテン男が何気なくその棒を拾うと、棒を探していたという男と女がやって来る。

「dig会」とは?

本編上演後、お客様も含めた全員で感想等を話す「dig 会」。 ドリンク・お菓子を片手に、創り手と観客の垣根を超えて感想や考えを話したり、ただ耳を傾けたり、自由なスタイルでご参加いただけます。

なお、9月14日(土)17:00上演回はspecial回として、特別な特典を用意。よりdeepな時間を過ごしてみたい方は、ぜひご参加ください。

<special回・特典>
①1drink(チケット代に含まれます)で、アルコール注文可!
 ※通常回ではソフトドリンクのみのご注文となります。

②「dig会・延長戦」を開催!
 ご希望の方は、dig会・延長戦にご参加いただけます。より多くの人と言葉を交わしたり、多様な感性に触れたりする機会になれば幸いです。

〈上演の場〉を探る
シリーズとは

どこからどこまでが「上演」なのか?

〈上演の場〉という言葉には、二つの側面がある。

一つは、作品としての「上演」について。
私たちcreationそらあいだは、〈上演の場〉を「演者と観客が同じ時空間を共有する」ことで成り立つものだと考える。演者によって立ち上げられる劇世界(物語世界)は、その世界の外部にいる(=劇世界の内部には「いない」)観客によって「見られる(=知覚される)」ことにより、その世界の存在を確かなものとする。しかし、〈上演の場〉を構成しているのは、演者だけでも、劇世界だけでもない。演者を「見る」という役割を果たす観客もまた、〈上演の場〉の一部なのだ。私たちは、劇世界だけでなく、観客も含めた〈上演の場〉全体を「上演作品」と捉える。この時、私たちクリエーターはどのように〈上演の場〉を創造することができるのだろうか。

次に、体験としての「上演」について。
「劇世界」という言葉が「開演から終演まで」を指すのであれば、〈上演の場〉における「上演作品」を制作する私たちは、当然「どこからどこまでが上演か?」という問いを立てることとなるだろう。「開場から完パケ(※1)までを含めるのではないか」という見方もできるだろうし、「家に帰るまでが上演」と捉えても良いし、検討を重ねた上で「やはり開演から終演までが上演だ」と考えても良いだろう。ここで大切なのは、結論を出すことではなく、考え続けることなのではないか。

昨年、大学院の研究公演を行った時、研究の一環として終演後の座談会を行った。それは、劇が終わった後に創り手と観客が作品について感想や疑問、考えを話し合う会で、ほとんどの観客の方が座談会まで残って参加してくださった。私は以前にも数回この「終演後座談会」を行ったことがあるのだが、毎回、観る人お一人お一人がまるで違う観点・関心を持っていることに驚かされている。今回、上演後のアンケートには「座談会まで込みで、公演が完成した感覚を持った」との声もあり、この感想は「どこからどこまでが上演か?」という問いにも繋がるものとなった。

〈上演の場〉とは、とても不安定なものだ。演者が台詞を噛めば、観客がくしゃみをすれば、誰かのスマホが鳴れば、その場の空気は簡単に変わる。それはつまり、〈上演の場〉に集う人それぞれの行動によって、いかようにも「上演作品」は変容する、ということだ。〈上演の場〉とは、創り手が稽古したものをただ提示するだけではない、それ以上の可能性を秘めた場であるはずだ。

さて、〈上演の場〉とは一体何だろうか。そこに集う人々によって場が生まれ、変容し、そうやって生成変化を重ねる中で、人々は何を体験しうるのか。

私たちは、〈上演の場〉を探る。

creationそらあいだ主宰・本作演出 清水ひなた

公演情報

<上演の場>を探るシリーズvol.1『棒になった男』

【日時】
2024年
9月14日(土) 13:00- / 17:00-★
9月15日(日) 13:00- / 17:00-
※開場は開演の30分前
※★回はspecial特典付き回(詳細は上記記載)

【会場】
レンタルスペース+カフェ兎亭
(西武池袋線・江古田駅より徒歩7分/都営大江戸線・新江古田駅より徒歩13分)

【チケット】
前売:2,000円 当日:2,500円(前売・当日共に、入場料+1drink+小菓子付き)

【キャスト・スタッフ】
脚色・演出:清水ひなた
出演:小野塚咲良・佐藤眞・田中孝史・野本有希子・樋口佑奈(50音順)
スタッフ:内田優紀・川瀬雄貴ほか


©安部公房 
協力:Abe Kobo official Japan UNI Agency., Inc 

助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京[スタートアップ助成] 



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